まるで、音の流れの中に飛び込んだような
まるで、次の音に出逢うために音場を冒険するような
まるで、音により重力が創られ、引き込まれるような
47台(43.4ch)のスピーカーをドーム状に配置し、そのマルチスピーカー群をアルゴリズム制御する事を可能にする専用アプリケーションである ZIRKONIUM によって設計配置された立体音響を創造します。立体音響作曲家の意図した音の配置・流れ・動きなど思ったままに実現する3次元サラウンドオーディオシステムです。
ドイツZKM(ZKM | Center for Art and Media Karlsruhe)で研究されてきた
“ZKM The Klangdom Sound System”
2017年11月にプラネタリウム音響システムとして日本初上陸。
2018年よりコニカミノルタプラネタリウム“天空” in TOKYO SKYTREE TOWN™、コニカミノルタPLANETARIA TOKYO(有楽町)で体験いただけます。
Speaker arrangement Top View
Speaker arrangement Side View
ZKMの高度な研究が創造したthe Klangdom Sound System(クラングドム)は専用アプリケーションであるZirkonium(ジリコニウム) とマルチトラック制御システムにより映像の動きに完全にシンクロした音の流れや、多層サラウンド演出などドーム空間を縦横無尽に流れる音を創造します。音の流れに包まれ、まるで光り輝く音たちの中を遊泳するような体験を実現する立体音響システムです。プラネタリウム音響システムとしてThe Klangdom Sound Systemが“サウンド・ドーム®”として2017年11月に日本に誕生しました。“ klangdom(ドイツ語表記) ”の英語表記は ”sound dome” です。
※日本国内において『Sound Dome(サウンド・ドーム)』はコニカミノルタプラネタリウム株式会社の商標です。
ZKM(芸術とメディアセンター)はドイツのカールスルーエに1989年に、創始者のハインリッヒ・クロッツ氏により設立されました。
「古典芸術をデジタル時代に引き継ぐ」というミッションのもと、絵画・写真・彫刻などの空間芸術と、映像、ビデオ、メディアアート、音楽、ダンス、演劇、パフォーマンスなどのタイムベースの芸術の両分野を融合・展開するセンターです。その先駆的活動・先進的芸術創造が世界的に評価され、「メディア芸術のメッカ」や、「デジタルバウハウス」と呼ばれるにいたります。
ミッションステートメントとして「知識の共有」を根幹にし、世界の相互理解を向上させ、現在のテーマを取り上げ、課題・文脈・疑問を示し人類が共有する、ことを掲げています。
KlangdomはZKMのIMA(音楽・音響研究所※IMAの現在の名称は「Hertz-Lab」)の研究領域であり、世界最高峰の立体音響研究ならびに成果を世に示してきました。
1974年、札幌生まれ。音楽領域を拡張するサウンドアーティスト。
幼少から作曲を始めて国内の作曲コンテストで全国グランプリを受賞する。06年にベルリンへ渡りヨーロッパ各地で海外CM等の商業音楽から音響空間設計まで幅広い作曲活動を行いながら、北京オリンピックでのプロジェクトや上海万博でのパビリンの音楽を担当。そして世界各国でフィールドレコーディングを行いながら立体音響の分野でもサウンドアーキテクトとして音響建築プロジェクトも手掛けて、ドイツのZKMではGuest Artistとしてプロジェクトを行う。
現代美術では音を可視化するサウンドアート作品の発表を国内外で行っており、先端的な音をアウトプットする目的で設立された実験音響とアンビエントのレーベル“43d”を主宰する。
2018年4月のZKM(Center for Art and Media in Karlsruhe)再訪をご報告します。
2017年2月、ドイツ、カールスルーエのZKMのIMA(音楽・音響研究所※IMAの現在の名称は「Hertz-Lab」)にて1カ月間、コニカミノルタプラネタリウム“天空”にKlangdomを導入するミッションのもと、ZKMのゲストアーティストとして滞在しておりました。
ZKMは立体音響の分野において世界的にも先端的な研究を行っている研究機関です。そのテクノロジーを日本のプラネタリウムの音響システムに導入するためにZKM研究員らと必要な建築音響、ソフトウェア、作曲面などのあらゆる側面で意見を交わしました。
2017年11月にコニカミノルタプラネタリウム”天空”に日本初の43.4chという立体音響システムが導入されて、Klangdom対応番組プログラムと共に既に稼働しております。今回の訪問は、そのプロジェクト完了の報告をZKM IMA所長であるLudger Brummer氏へ行うことが目的でした。同氏はプロジェクト完了をとても喜んでくれており、日本の民間企業であるコニカミノルタプラネタリウム株式会社がエンターテイメント運営を行う為”Sound Dome®”を常設的に導入した事に対してとても評価してくださいました。これは立体音響システムにおける大いなる前進であると言えます。
(right)
ZKM | Center for Art and Media Karlsruhe
Institut f. Musik u. Akustik, Hertz-Lab
Head of Department
Prof. Ludger Brummer
(left)
Sound Architect
OGURO, Junichi
Photo: OONO, Shinjiro
ZKM訪問後、ベルリンで展示中のISM HEXADOME(ヘクサドーム)を視察しました。
これはISM(Institute Sound &Music Berlin)が主催している360°AUDIOVISUAL Exhibitionです。ZKMの立体音響システムであるKlangdom(52chバージョン)と6面の大型プロジェクターで構成された映像と立体音響の展示になります。展示のオープニングは世界的なアーティストである、ブライアン・イーノが務めて大きな話題となりました。展示期間中はオアシスのトム・ヨークなど、実力派アーティストがこのHEXADOMEを使い立体音響での展示をおこなっていました。視察中にこの展示空間を使用した特別なライブパフォーマンスを若手で大注目中のHolly Herndonが行いました。前売りチケットがソールドアウトになる中、美術館の残響空間とKlangdomを使用したコンセプチャルなライブは素晴らしいもので、立体音響の新たな使用方法のアイデアにつながると感じました。今までの技術だと大変難しかったことが、Klangdomのシステムが洗練されていくことによってハードとソフトウェアの連携そしてリアルタイムのライブパフォーマンスまでもが可能になり、エンターテイメントにおける新しい音響空間の構築が可能になっていくことを強く提示していく素晴らしいプレゼンテーションでもありました。
このHEXADOMEのような展示に実力派のアーティストが大勢関わっていることに、これからの立体音響システムの可能性を強く感じます。そして日本におけるKlangdomは、これからの時代に必要な音響システムになることは必然だと更に感じました。今後ZKMやISMとの連携やコラボーレーションなども視野においた幅広い展開が日本の立体音響の裾野を広げていくと考えております。
(left)
Institute for Sound & Music
Chairman, Artistic Director
Nick Meehan
(right)
Institute for Sound & Music
Press Relations
Mea Liedl
(center)
Sound Architect
OGURO, Junichi
Photo: OONO, Shinjiro
2018年11月16日に幕張メッセで開催された“INTER BEE IGNITION”企画セッションの「高臨場感時代の音と映像の表現手法の再定義」にてモデレータに一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム 江口氏、VRミュージカル(リトルプリンスVR・LITTLE PRINCE ALPHA)を手がけた水野氏((株)アルファコードCEO)、そのVRミュージカルの俳優/プロデューサーでもある音楽座ミュージカル 森氏と共にパネリストの一人として登壇させて頂きました。
テーマ通り、高解像度時代を迎えた音と映像コンテンツの今後を示唆する中身の濃い重要なトークセッションになりました。まずは43.4ch立体音響システムの現状としてコニカミノルタプラネタリウム天空で稼働中のSound Dome®についての説明と、導入にあったてのドイツZKMでの経緯やKlangdomの紹介を行いながらハードとソフト面の両方から立体音響の未来について登壇者達と話し合うことができました。そしてVRミュージカルでも独自にマルチチャンネルの音響システムを開発して新しい舞台の形を生み出しており、両プレゼンは立体音響における今後の可能性を大きく期待させるものでした。
モデレータの江口氏からも、「これからの立体音響システムや音楽コンテンツは、今までの常識や方法論をさらに一新するメソッドが必要になる」という趣旨のお話をされており、まだ日本ではマルチチャンネルの立体音響システムは発展期にある存在ではありますが、確実に力強く一歩ずつ動き出していて、必要とされていることをINTER BEEの会場で感じることができました。さらに2018年4月にベルリンで体験したISMのHEXADOMEも紹介しながら海外の現況を報告し、立体音響システムとその為の音楽コンテンツの重要性を改めて提示することができました。「音の重要性」は様々なジャンル(今回のトークセッションではプラネタリウム用立体音響システムとVRならびにVRとミュージカルを融合したプロジェクトにおける音響システムから始まり、高臨場感時代における様々な展開でした。)で認識されており、今後の研究や挑戦が求められていると感じる事のできるトークセッションでした。
関連記事:VRonWEBMEDIA様ご発表関連情報
Inter BEE IGNITION 企画セッション
「高臨場感時代の音と映像の表現手法の再定義」
写真手前より
パネリスト
水野 拓宏(株式会社アルファコード)
森 彩香 (音楽座ミュージカル)
大黒 淳一(サウンド・アーキテクト/作曲家)
モデレータ
江口 靖二(一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム/合同会社江口靖二事務所)
Photo: OONO, Shinjiro
2018年12月19日、有楽町(東京)に『プラネタリアTOKYO』が誕生いたしました。本施設は日本初の複数プラネタリウムならびにVRシアター・カフェなどを併設する複合施設としてグランドオープンを迎えました。二つのプラネタリウムの一つ、Dome2と呼ばれるプラネタリウムの音響システムとしてKlangdomサウンドシステム(サウンド・ドーム®)が採用されました。2017年の“天空”プロジェクトに引き続き、日本における2つ目のKlangdomの誕生です。本チームでの私の役目として、Dome2の音響システム構築と共に、オープニング番組である「To the GRAND UNIVERSE 大宇宙へ music by 久石譲」のサウンド・ドーム®対応プログラミングを担当しまして、ドーム音響における番組音源の装填も行いました。
今回のレポートでは、Klangdom音響システムの設計・構築エンジニアの平野芳博氏(オンズ株式会社)にシステムのポイントについて概説をお聞きしました。2017年プロジェクトより本プロジェクトに参画していただいている平野氏は、ドルビーステレオ、IMAX、THXなどのシアター関連業務の深い経験と、コンサートホールのサウンドエンジニアとしての活動を通して積み重ねられた経験を元に、映像同期を含むサウンドスタジオシステムのシステムインテグレーターとして活躍している方であり、Klangdomを構築するにあたり、平野氏のノウハウが必須となりました。
平野氏のあげた主なポイントを以下にまとめました。
43.4chというマルチチャンネルの制御には近年のデジタル音声伝送技術としてスタジオや放送業界で主流であるMADI(Multichannel Audio Digital Interface)を採用しており、プラネタリアTOKYOのKlangdom音響システムではMADIルータがダウンミックスのマッピング機能を掌るなど重要な働きをしています。サウンドトリートメントにおいては、プラネタリウムのドームという音響的に不利な要素の多い空間において、DSP(Digital Signal Processing)を使用して場内のサービスエリアを平均化するなど(測定ポイントは9ポイント×43.4ch=423シーン)、正確な音場を構築するトリートメントを実現しています。商用システムとして(365日稼働)、映像との完全同期は無論、全機器をブレーカーON/OFFの単純操作で管理可能なものとし、ハードな稼働に耐えうる機器構成・システム設計・バックアップ施策など安心して商用利用できるKlangdom音響システムとして完成させました。最先端のシステムインテグレーションを施されたKlangdomは、リプレーやライブを問わずにアイデア次第で様々なコンテンツに対応でき、特にサウンドスケープや音場シミュレーションにおいて新たなクリエイティブが期待できる、と平野氏は言います。
私は天空・プラネタリアTOKYOと二つのKlangdomプロジェクトを通して、Klangdomのような高臨場感を実現する音響システムは、もはやシステムではなくある意味、優れた至高の「楽器」のように感じております。これからの音楽家はその楽器をいかに奏でるかを問われていると感じます。無限に近い音場創造の可能性を秘めた音響システムを手にした音楽家が、今後新たな価値観を生み出して、このKlangdomと共にどのようにクリエイティブを行うのか、そして映像作家とのコラボレーションによりどのような衝動や体験を世に生み出すのか、楽しみです。
写真左
平野 芳博(オンズ株式会社)
写真右
大黒 淳一(サウンド・アーキテクト/作曲家)
Photo: OONO, Shinjiro
2012年設立Lei Connection株式会社代表。ビジュアルコミュニケーションプロジェクトディレクターとして20年以上活動実績を持つ。空間におけるコンテンツ・システムの融合プロジェクトの他、クロスメディア展開する複合的なプロジェクトをプランニング段階からコンテンツディテール設計・開発・プロジェクトマネージメントまで対応する多くの実績と経験を持つ。
音楽領域を拡張するサウンドアーティスト。06年にベルリンへ渡りヨーロッパ各地で海外CM等の商業音楽から音響空間設計まで幅広い作曲活動を行いながら、北京オリンピックでのプロジェクトや上海万博でのパビリンの音楽を担当。そして世界各国でフィールドレコーディングを行いながら立体音響の分野でもサウンドアーキテクトとして音響建築プロジェクトも手掛けて、ドイツのZKMではGuest Artistとしてプロジェクトを行う。
創業40年、建築音響の世界で多くの支援を受け、トップアーティストである桑田佳祐氏・布袋寅泰氏・桜井和寿氏を筆頭に、設計施工したスタジオの実績は国内屈指の数を誇るエキスパート集団。産業の世界においても多くの音響研究所・施設を手がけ、その実績とノウハウには、豊富なデーターベースと最新・最適のテクノロジーが盛り込まれ、建築音響のパイオニアとして活動。
2009年設立オンズ株式会社代表。サウンドシステム・インテグレーター(SI)として多くのスタジオシステムを手掛ける。「SIは良質の音を知る事から始まる」という独自のポリシーのもと、先進的な活動を続ける。サウンドシステム・インテグレーター界を牽引する国内最高峰の知識・経験・技術を持つと共に、あらゆるニーズに対応するネットワークを持ち、最適なシステムを創造し続ける。